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無人島にあこがれた時期がある。お椀を
ふせた形で椰子が一本の小島もいいが、
どちらかといえばドーナツ型の環礁がい
い。シングルハンドのヨットに犬一匹をの
せ、島をたずねる夢想にふけったもので
ある。そのころは何の目的もなかった。ひ
とづきあいに疲れただけで、ひとりになれ
ればよかったのが、いまは違う。ヴァージ
ンアイランドに着いたら珊瑚の渚で貝をさ
がすのだ。
貝ひろいをはじめた頃は純情にも葉山産・
逗子産にこだわっていた。動物をつくるよ
うになり秋谷海岸(横須賀市)もいいや!
とガードを下げたのが間違いのもと。歯
止めがきかずに千葉・隅田川・博多産と
一瀉千里に収集場所が広がってしまった。
あげくに魚屋、スーパー、東急ハンズ、江
ノ島の土産物屋で購入する節操のなさ。
「浮気ナンカシテ!」「買ウナンテ不純ヨ」。
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言葉にださないが妻の表情は険しくな
るばかり。その目を盗んでは、なりふり
かまわず買いあさっている。でも、貝は
割らない・削らない・着色しないという貞
節だけは、かろうじて守ってきた。
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